【書評】スティーグ・ラーソン『ミレニアム1ドラゴン・タトゥーの女』評価 B+ 正直なめてた。

本の評価

スティーグ・ラーソン『ミレニアム1ドラゴン・タトゥーの女』 ハヤカワ文庫

¥800(税別)

評価 B+

 

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

どんな本かぶっちゃける(あらすじ)

ヴァンゲルグループの会長であるヘンリック・ヴァンゲル(以下ヘンリック)が、雑誌「ミレニアム」のジャーナリストをしているミカエル・ブルムクヴィスト(以下ミカエル)へある事件の調査を依頼することから始まります。

ある事件とは、40年前にヘンリックの姪であるハリエット・ヴァンゲル(以下ハリエット)が失踪した事件のこと。

ミカエルは、雑誌「ミレニアム」で大物事業家を批判したところ、訴えられて有罪判決を受けてしまい3ヶ月の禁固刑を言い渡されます。ミレニアムに傷が着くと思ったミカエルは、1年間隠れようとヘンリックの難解な依頼を承諾します。

ドラゴンタトゥーが背中に入った「奇妙な」女であるリスベット・サランデル(以下リスベット)は、一流の情報屋で、依頼があれば、ターゲットの住所や家族構成はもちろんのこと、性癖や過去の男女関係まで、ありとあらゆることまで調べ上げることができました。

ミカエルが40年間一度も出てこなかった新事実を発見することにより、リスベットとともに調査をすることになります。

どんな人に向いているか

暗めのバーでゆっくりウィスキーを飲むような、ゆったりとした空間が好きな人には最高の本だと思います。西洋の本であるため、描写が非常に細かく書いてあります。人物像を一人一人ちゃんと書いてあるため、ゆったり映画を見ているような感覚で読めると思います。

あとはダ・ヴィンチ・コードを読んだことがある人は、非常に面白いと思います。

クリスマスには家でケーキ食べてサンタさんがきてプレゼントをくれる行事だと思っている日本人がこれを読むと面白いでしょうね。

僕もそうでしたが、ある暗号が解明する部分があるのですが、これは予想もしていませんでした。そこから話が急展開していきます。

見どころ

何度も諦めそうになる

またしても上下の「下」の途中を読んでいる最中にこの書評をで、ようやく面白い展開になってきたという感じです。

舞台が日本ではないため、一つ一つの文化やワードにいちいち引っかかり、慣れるまでは読みづらさがあります。

この話は、ハリエットが失踪するという話であり、ヘンリックがそれを親族が殺害したと疑っているところが非常に重要なポイントになります。

そのため「ヴァンゲル」という名前がたくさん出てくるため、一人一人をはっきり言って覚えられません。

また、ご丁寧に人物像に細かい設定が書かれているため、情報量が非常に豊富です。

そのため、この本の読み方としては、この人なんの人だっけ?という疑問を素早く無視して読み進めましょう。そうでないと読み終わりません。いつの間にか、ちゃんと自分の中でこの人はこういう人だという人物像が出来上がるので安心してください。

リスベットとミカエルが出会うまで頑張ろう

1つの驚くようなテーマを先にガツーンと出して、それを解明していくようなものではありません。この本は「上下」とあるのですが、「上」の250ページくらいにならないと本筋にはしっかりと乗りません。

それまでは、伏線をご丁寧に張り巡らせ、一人一人の人物像がちゃーんと書いてあるだけです。どれだけ細かいかというと、ミカエルがヘンリックのもとで泊まり込みの調査をする際に、朝はどこどこにいて、昼は何を食べて、夜はこれをやってみたいなタイムスケジュールさえしっかり書いてくれています。

ですので、登場人物のバックボーンからしっかりと知りたいという人には向いているかもしれません。

このように、250ページくらいまで頑張って読んでいくと、急に話が展開されていきます。ご馳走を目の前に出されるまで、非常に時間がかかるため、出てきた感動は他の本と比ではありません。

まとめ

マジで疲れます。この「上」を読むだけで、何度も心が折れかかり、250ページ読むのに6時間くらいかかったかもしれません。

 しかし、リスベットとミカエルが出会ってからは非常に面白いです。また、多分これを読んだ人は、僕と同じく、いつの間にかリスベットの魅力にとりつかれていると思います。

サブテーマである「ドラゴン・タトゥーの女」という言葉のつけ方も非常にセンスが

よく、これでしかないなと読みながら納得させてくれます。

日本の小説が大好きだという人には、少々読みづらいですが、謎をとく鍵が出てきた感動は日本人なら特に大きいと思います。

なぜなら、多分思いもよらないことが起きますから。